4月3日のひな祭りも終わり(うちの実家は旧暦で祝うので、私は年に二回、ひな祭りを祝うことにしている)、今日は人形の片づけをしています。

この人形は実家の両親が絵里佳の誕生を祝って日本から郵送してくれたもの。立派な七段飾りで、とても素敵な人形たちです。一つ一つ、ホコリを落とし、お道具たちは、磨いてそれぞれの箱に入れていく。刀や、扇子、弓など小さい道具をしまうと、自分の小さかったころのことを思い出す。

私の母の人形は、宮殿式のものだった。珍しい形のもので(広島県中部地方に多いらしい)、御殿が物語のように広がってとても素敵だった。触ってはいけないといわれても、小さな刀やお道具箱は触らずにはいられない。よく姉と人形ごっこの時、こっそり使ったものだ。御駕籠の中に人形を(お雛様でなく、自分のおもちゃの人形)入れてみたりした。絵里佳の御駕籠は母のセットのように、戸が開いたりしない。刀も御内裏様のもの以外は鎖やも抜けない。昔のセットのものの方が、細かいところまで、作ってあり、素敵だった様に思える。

今年は久しぶりにお雛様を出してみたと、母が言ったので、写真を送ってもらった。何度も引越しをしたりした間に随分部品を失ったと、たくさんのお道具箱もなければ、右大臣、左大臣もいなくなった。お内裏様とお雛様がちょんと宮殿の奥に座っている。とても懐かしいお雛様だ。70年も前に購入したことを思えば、かなり保存状態が良い。御殿の黒と朱色の塗りそして、金で描かれている模様がきれい。

絵里佳のセットは木でできた、菱餅や丸餅が飾ってあるけれど、母のは本当の3色の菱餅、あられがのっている。本当の花も横に活けてあり、母らしい。絵里佳もいつか、こうしてお人形やひな祭りのことを思い出してくれるだろうか。カナダに住みながら、日本の文化を伝えていくことは、簡単ではないだろうけど、できる限りのことをしていきたいと思う。

来年の三月まで、お雛様ともお別れ、これからも絵里佳を守ってくださいな。