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北米で人気のあるキャンピングトレーラー。これさえ持っていれば、ふらっとアメリカ大陸横断旅行ができる。キッチンやバス、トイレも付いているので、テントキャンプのような車に荷物を積み込む作業がいらない。本当に便利な代物だ。
小さなトレーラーからFifth Wheelと呼ばれる豪華なものまで、いろいろある。

そんなトレーラーに旅行のためではなく、“家”として住んでいるディビッド(仮名)が最近入院してきた。PPS(パリアティブパフォーマンススケール)は50%と良い。診断名は白血病による汎血球減少症。もう化学療法の対象外となった彼の状況では、普通在宅と外来での輸血で対応できるけれど、ホスピスに緊急入院ということになった。それもコミュニティーの医師から申し送りを受け、SWが自分の車で連れて来た。本来ならばコミュニティーナース(訪問看護)から申し送りを受け、家族の車やタクシーか救急車で来院となるのに、いつもとは全く違う状況だ。一体どういう事情かというと、彼は一人暮らしで身寄りもない。小さなトレーラーに住んでいて、訪問看護師が訪問を拒否していることと、緊急外来へ行くために呼んだタクシーもピックアップを拒否したからだ。

訪問看護師は自分達の安全を守るため、訪問先によっては拒否する権利がある。デイビットの家は小さくて、お金がないため水道も暖房も壊れたまま。暖をとるためにワッフルメーカーで部屋を温めるような状況だった。小さいトレーラーに物が溢れ、看護師は座るところもない状況。これが訪問を中止する理由になったらしい。タクシーがピックアップしなかった理由は、彼の住んでいるトレーラーパーク(キャンプ場だけれど、デイビットのようにトレーラーで暮らしている人が永住しているところ)は悪名高く、タクシー料金を支払わない人がいたため、タクシー会社が拒否したとか。

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どんな汚いおじさんが入院してくるか(ほとんどホームレスの人物を想像していた)と思いきや、清潔感のあるハンサムなおじさんだった。カバンの中にあった着替えもきちんとたたんであって、几帳面な正確を思わせるものだった。ヘモグロビンが55血小板が10と低く、前日鼻出血をかなりしたようなので、即外来で輸血、今は血液検査の数値が上がるのを待つと同時に、在宅療養が患者にとって安全かどうか評価するためにホスピスに留まっている。

トレーラーパークにはたくさんの人がそこを永住の場所として住んでいる。そこにはManufacture Houseと呼ばれるトレーラよりしっかりした造りで大きいもの(工場で作られた家が運ばれてくる。田舎など大工や技術者が不足している地域では簡単に家が建つと人気がある)、やトラベルトレーラーを駐車させて使っている人がいる。どっちにしても持ち家を持つことや、アパートなどで部屋を借りることに比べたら安く済む。そういう点がトレーラーパークの人気の秘密かもしれない。しかし、元気な時はそれで良いかもしれないが、怪我や病気で動けなくなると、車椅子や歩行器が使えない。デイビットのように訪問看護どころかタクシーまで来てくれないことだって起る。簡単にできる家は壊れやすいということもある。デイビットのトレーラーは旅行用で牽引しやすいように、できるだけ軽量に作られている。だから壁も薄く、面積も小さい。デイビットのような患者は私が覚えているだけでも今までに3人。トレーラーパークはあちこちにたくさんある。きっとデイビットのような患者はこれからもホスピスにやってくるのだろう。

太陽写真と本文は関係ありません。