以前にも書いたが情報の厳守はとても大切なことだ。患者が個人の情報をどこまで誰に話すか決めることができ、私達はそれに準じなければならない。だから本人が癌の診断を知らずして、家族が知るなんてことは起らない。もちろん例外はある。例えばHIV陽性を家族に伝えないで欲しいと頼まれても、伴侶のWellbeingを考慮すると、この情報の厳守を超えて知らせなければならなくなる(もちろん患者本人に他の人をHIVから守るために必要なことを理解をもらうように働きかけることもする)。医療者として働くには情報の厳守をよく理解して働くことが必要だが、日常の雑務に追われて明確でなくなる時もある。例えば病棟に良くかかってくる電話。患者の姉妹や友達から。状態はどうかと聞かれる。患者が話せる状態なら電話を回すけれど、そうではなく全く知らない相手ならばTSDMやNext of Kin 以外には伝えられないとはっきり言える。しかし頻回の訪問で顔見知りなら、つい口を滑らせて話してしまうこともある。

3月ごろ興味深いケースがあった。日勤中に電話がかかってきた。去年の8月に友人をわがホスピスで亡くたと思うが定かではないから調べて欲しい。それから亡くなる前に2人の看護師にメッセージを伝えると約束したから、この2人がいつ勤務するのか教えて欲しいと言うのだ。勤務者の情報だって守らなければならない。教えることができないと言うと、この電話番号を探すのにどれだけ苦労したか、彼との約束を守ることがどれだけ重要かと半泣きで話し出す。そのなくなった友達の名前は死亡者のリストにはない名前だ。そのことを伝えるとそれはおかしいそちらの間違いだと言う。しかし聞けば聞くほどつじつまの合わない話で疑いは高くなる。なぜかその時期に亡くなった他の患者の名前や病室番号まで知っているのも不思議。メッセージも手紙を書いたらどうかと薦めても会わなければならないの一点張り。CRNと話してから掛け直すから電話番号をくださいというと断る(でもコールディスプレイに名前と番号が出ていたのでメモってはいた)。電話を切ろうとすると悲しそうな声でつらい気持ちを話し出す。なんだかんだと30分以上も私を電話に釘つけた。終わりの見えない会話に話の途中で無作法だが電話を切った。同僚に聞くとなんとこの女性何度もホスピスへ電話をかけている。CRNもすでにこの女性と話をしているらしい。変な電話と疑いながらも、電話でたらいまわしにされた経験(ワークビザの時に嫌と言うほど経験した)がある私はなぜかすっきりせず、もしかしたら死亡者名簿から漏れていたか、他の病棟やコミュニティーで亡くなったかもしれないとSWのミッチに状況をメッセージに残しておいた。その後ミッチが来て“みか、全部調べたけどこの男性、死亡どころか地区全部のHPCプログラムにも入っていないわよ”と言う。絶対変!と思いもっと詳しく会話の様子を話すと他のスタッフもその女性との会話を話しだした。そうしたらミッチ曰く“あのね、あなた達、私達はこの男性はこのホスピスで亡くなっかどうかだって言ってはならないことわかってる?この女性が誰だかわからないのに!”と逆に怒られてしまった。詳しい状況を話さなければ情報の厳守になると思っていた、、、。YESかNOも入っちゃうのね、、、と大反省。もちろんミッチは電話口でグリーフを切々と語られると助けてあげたくなる私たちの気持ちもわかってくれた。

結局、ミッチがその人に電話を入れて、亡くなった場所が解らないような患者との関係だったら彼女はTSDMでもNext of Kinでもないことは明確で私達は一切手伝うことができませんとはっきり伝えた。電話をそばで聞いていたけれど、ミッチの態度は一貫していて規則を盾にバサバサと切り口が良い。だから私の胸がすっきりするくらいだった。ルールや私たちの使命を理解していて明確な態度、、すごいな~と感心してしまった。そして彼女に質問。もし誰かが兄だとか妻で自分がNext of Kinと言って電話をかけてきたらどうやって確認するの?答えは簡単だった。電話番号を聞いてこちらから掛けなおすのよ。もちろんカルテでその番号がちゃんと合っているか確かめてからよと。そこまで慎重にしなければならないのか、と反省させられた。この女性あれ以来電話をかけてくるのを辞めた。悪いことをしていたとわかったのかな?!ミッチ様様だ。