私が働いている地域はホスピスへの移行や在宅での死が可能になるようにいろいろなシステムが整備されている。しかし予定通りにならないことも時にある。
先週2件もERにひん死状態の方が到着したのだ。どちらとも終末期であったことは明らかであったが、なぜかプログラムにも登録されることもなく、ここまできてしまったのだ。両方に共通だったことは、結構病状が安定していたのだけれど、急に状態が変わって、、、ということだった。プログラムには予後が6ヶ月以下になると登録することができる。病院などに行かなくても訪問看護とつながり、病状をモニターされるので、症状が進行すれば将来に備えて準備を始めることができる。必要な手続きさえしていれば、在宅からホスピスへ直接入院することもできる。
どうして、もれてしまったのか、、、一件目はまだまだ、地域の医師がプロセスを理解できていないことが伺え、継続して教育を行っていくことの大切さを思った。また、地域や家族への教育もまだまだ、行っていかなければならないと思った。2件目はプログラムへの紹介のタイミングだろう。6ヶ月以下と一言で言っても、本当のところは難しい。医師が持っている情報は統計や臨床経験からの見解で、必ずしも的中するという保障はない。予測より早まる人もいれば、長くなる人もいる。もちろんこのことは上司たちに報告し、再発しないためには何が大事かと検討するまでに。
で、当日に戻って、、、ホスピスへの手続きは、普通、3、4日かかるものだ。ケアの質の説明から、たくさんの登録書類、申請、認可と続き、アクセスを通って、、、と簡単にホスピスへ行ってらっしゃいとはならないのだ。しかしERは終末期の患者にとってふさわしいところではない。いち早くここから出させてあげて、落ち着いて最後の時が過ごせるようにしたいものだ。2件とも3-4日かかるすべてのことを1時間半で終わらせた。電話をあちこち掛け捲り、スピードアップを図り、受け入れサイドへの気遣いも忘れず、、、とスピードを上げてもスムースな移行になるように細心の気配りをするのだ。一筋縄ではいかないこともあった。現存の規則を曲げることもした。
おかげで両件とも、数時間だったがホスピスで落ち着いた最後を過ごすことができて、ホスピススタッフから良い入院だったし、家族が何より喜んでいた、と聞いた。最悪な状態でもその中で良い状態を作り出す、、、、それも技量なのかもしれない。
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