震災から一週間がたちました。避難されている方、大切な方を亡くされた方に心よりお見舞いを申し上げます。
震災以来、インターネットで日本のニュースを見ていて気づいたのだが、報道されるニュースの内容が、CNNやBBC、こちらの新聞で報道される内容とギャップがあることだ。
日本のニュースは”何がおこったか”に重点がおかれており、海外のニュースはそれに加えて”今後の可能性”を報道している。
例えば、原発に関することであれば、どういう防御設備があったけれど(13策)、それがすべて稼動しなかった、と詳しくそのことについて書かれている。現時点で最悪の場合を回避する策は少なく、カナダ政府もアメリカにならい在日カナダ人に80Km圏内から退避することを勧告していまる。このギャップについて日本での会見では”海外側の情報の解釈違い、混乱、基準の違い”などをあげていたが、海外はまったく逆の見方をしている。
災害地や避難場所での医療の現状はどうなのだろうか。避難先で慢性病(高血圧、心臓病、糖尿病などなど)の薬を持っていない人への対応はどうなのだろうか。避難民は30万人を超えている。薬がなければ慢性病が急性期症状を起こし、急性期医療がもっと必要になる。
水が貴重ななところで手洗いを励行することはできない。風邪やインフルエンザ、胃腸炎などの感染症の集団発生を抑えるためには、水の変わりになるアルコールの消毒剤が必要になる。医療者間で使われるものはアルコール度数が高いものだ(60%以上が必要濃度)。私が日本へ帰った時、アルコール度数が低く効果が低いものも市販されていた。日本はマスクを信じる人が多いが、病原菌が体に侵入するルートで一番なのは病原菌がついた手を口へ持っていったり、目をこするからだ(だから幼稚園や小学校で感染症が起こりやすい。手洗いの励行がとても重要)。政府の医療部門はこういうことを念頭に入れてアルコール消毒剤をいち早く避難地へ送ってほしい。
日本のニュースで低体温になったらペットボトルを脇の下やソケイ部に当てることを言っていた。お湯の温度は42度までと。糖尿病で皮膚感覚が無くなっている人やお年寄りの人にはとても危険である。”熱い”と感じることや、熱いものから体を離すことができず低温やけどを起こすからだ(カナダでは湯たんぽ、電気あんかや毛布の使用は固く禁止されている。在宅では自分のリスクで使用する人がいて冬になるとそれによるやけどが増加する)。脱水症状、低体温症、やけどなどトリプル被害はいらない。するなら直接肌には当てず、頻回な観察が必要だ。
たくさんの方が一生懸命救助活動や援助活動を行っている。政府の人もそうだろう。
しかし、未だに日本の学識者が原発問題に参加しているようには思えないし、医療に関しても、災害医療、公衆衛生や慢性病のリーダー的学識者と政府がチームを作って組織的な取り組みを行っているようにも思えない。薬の流通が確保されていなければ医療者を被害地に送っても効果的に医療を行うことはできない。
緊急事態の中で正確な判断をするのは簡単ではない。だからこそ外からの助けを受け入れ、グローバルなチームで取り組むことが大切なのではないだろうか。
にほんブログ村
- ブログネタ:
- 被災者の方々へメッセージを! に参加中!
消毒用アルコール、ガソリン、灯油、薬など、輸送用のガソリンが不足して届けられない状況のようです。
1日1日復興で状況がよくなってきているのが救いです。
医療関係者の方は、新潟や神戸の医療関係の方が、自分が震災に遭ったとき世話になったからと、率先して被災地に赴いていらっしゃるようです。