あーようやく終わった看護倫理と政治。長かったし思ったよりずっと重たいコースでした。半泣き状態で書いた最後の論文。終わってみれば結構良いとこついているじゃないの、と自分の論文にほれ込む(いつものことですが、そりゃ何か月もかけて書いていれば恋に落ちるというもので)結果はどうであれ、大変な満足感に浸っている今日。書いた内容はDevalued Population : Palliative care Patients。緩和ケア患者がシステムの中で差別(と言うとちょっとニュアンスが違いますが)されているかということ。積極的な治療(緩和化学療法や放射線療法)やDNRの説明と承諾のプロセスに医師の高い権威が患者の自己決定の意思より重要視されている側面、法制度の中で緩和ケア患者に不利な政策についてなど、高齢化する社会の中での緩和ケアのあり方などをまとめてみました。すべて仕事を通して経験したことから疑問がおきて追求していくうちに、政治や方針が深く関わっていることがわかり、医療が政治と強くつながっていることを改めて知りました。

で、最近受け入れた2例の患者さん。どちらも最近末期のがんだと判明した方でした。両人とも緩和化学療法待ちの方で、症状緩和目的の治療なのに、がんが治癒すると強く願っている。そんな中で訪問の緩和プログラムの登録とケアの開始と。両方とも難しいケースだった。なにせ症状が出てから診断までの期間が短く現実(末期のがんだと)を消化していくだけでも時間のかかる過程。それをサポートしながら迫ってくる最期に備えて準備を始める。信頼関係を築きあげながら。十分な時間を使って患者や家族の気持ちや現在の理解を、計画に組み込んでいく。反応をみながら消化できそうな情報をシェアしていく。時間も労力もかかる。こういう難しい会話でもしっかりと向き合える知識と経験が必要だ。政策やシステムの中で揺れ動く患者と家族の気持ちが伝わり心が痛む。これから続く長い旅の始まりを感じながら。

難しいけれどやりがいがある。やっぱりどこにいても緩和は良いな~、とホスピスを出て訪問看護を始めたことを心から喜んでいる。 

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