カナダは医療と高校までの教育が無料なので、福祉国家と思っていた。税率も高く(収入にもよるが所得税は38%もつく)。生活補助を受けて生きている人もたくさん見受ける。定職にも着かず、ぶらぶらしている若者から壮年期の人たちを見かけることが多いので、”いたせりつくせりの国だから、働かなくても生きていける”と、努力しない人が多いのよ。そういう人に税金が使われて、間接的にお世話をしているみたいで正直いやだった。

昨今は医療費の増加、財政困難によりアメリカのように医療をプライベート化しようという話が頻繁に騒がれている。それに医療費削減の波は刻々と国民を襲っている。例えば訪問でジョクソウの包交に使用する物品は訪問看護師が持参していたが、今は2週間立つと患者が購入して準備しなければならない。もちろん全員が対象になるわけでなく、経済的理由があれば免除になるのだ。低所得者にとっては変わりはないがそれ以上の国民にとっては大きな違いだ。救急車の利用も自宅から施設(病院など)は以前より料金の請求があったが、それ以外は無料だった。ホスピスに入院している人が緩和目的で放射線療法を救急車を使って通っていた。しかしこれも患者へチャージさせるようになった。少しずつ静かに無料サービスがなくなってきている。

医療の有料化は医療費削減につながるのか? 有料化によって低所得者の医療へのアクセスが妨げられ、国民全体の健康指標が下がるのではないのか、という考えもある。医療というものを歴史的観念、公衆衛生の観念、社会哲学の観念、政治の観念から視察するとどうなのか、ということを大学院で学んでいる。文献から学ぶことは多い。統計学的にみても大変興味深い。

例えば、健康指標といっても平均寿命を使うこともあれば、新生児の生存率を使用することもある(他にもいろいろな指標がある)。発展途上国と先進国と同じ指標で比べても因果関係が浮き彫りにならないこともある。何を何の目的に比較しているのか注意しなければならないが、なるほどと感心するものがあるのでここに例としてあげてみたい。

例えば平均寿命の長さでは日本が一位だ。カナダはスエーデンの次で7位。巨大経済大国のアメリカは30位となる。しかし国民一人当たりの医療費の支出はアメリカがダントツの一位でカナダはカナダは5位、スエーデンは14位そして日本は20位だ(この結果は年度やどの機関が調査したかによっても多少の違いはある)。面白いことに費用と平均寿命は反対比例のようになる(先進国の間では)。アメリカの経済大国の名は誰もが知っている。しかし貧困層と高取得者の比率を比べるとこれまたアメリカが一番になる。福祉大国の北欧諸国は社会福祉費の高さで有名だ。そしてこれらの国は貧困の差が少なく健康指標も良い。雇用率、福利厚生、教育、犯罪率などで、アメリカ、カナダ、スエーデンと比べると、ゴールドメダルの多さはスエーデンがダントツだ。政治の傾向、社会福祉費の割合を比べると、カナダはお隣のアメリカの横に位置され、イギリスはカナダのお隣だ。とても驚いた。カナダは福祉国家の北欧からはとても離れた位置にいるのだ。

カナダの医療は無料だ。しかし病気になった時に援助してもらえる(生活に関して)額は低く、システムも手厚くない。国民の健康が基盤になっている国で長期的に健康がなくなると(病気になると)低所得者になってしまう図式が出てくる。日本のように生命保険に加入する人はとても少ない。”働けなくなった時”を真剣に考えている人はどれくらいいるのだろうか。マスメディアに踊らされず、国民すべてが真剣に考えなければならないことだと思う。

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