カナダへの移民の形はいろいろある。そのひとつがスポンサーである。カナダの市民権を持っているものが、新しい移民者の保証人となって移民が行われるケースだ。結婚移民と言われるのがこれだ。スポンサーをするためには職業や財産などを審査される。そして移民後10年間その移民者の世話をすると契約を結ぶ。世話をするとはどういう意味だろう?

カナダは福祉国家である。所得が低かったり生活苦があると政府が面倒をみてくれる。社会保障が充実している。こういう保障を受けず私がこの移民者を10年間世話をするという意味だ。だからスポンサー移民は生活保護が必要な状況になっても他の市民のように援助を国から受けることができないのだ。

で、先日ホスピスへのプロセスをしていた患者さん。ホスピスフィロソフィーについて話していた時は、そんなすばらしいところへ行けるなんて、と喜んでいた。しかし費用のことになった時、急に顔色が悪くなった。カナダでは医療費は無料である。この医療費とは急性期病院での医療費のことを指す。慢性期となり長期療養型の施設は無料ではない。といっても政府がある程度負担してくれるので個人負担は一日3000円程度となる。住居があり食事とケアがついてこれぐらいは悪い値段ではない。1ヶ月で9万円強だ。ホスピスは長期療養型施設と位置づけられているので同じ額の個人負担が発生する。市民の中にはこの料金さえ払えない人もいる。そういう時は社会保護制度が働き、収入や財産によってそのお金さえも政府によって25から100%賄われる。このような個人負担がバリアとなりヘルスケアへのアクセスが阻まれることを避けるためだ。だから、ほとんどの市民が個人負担金を心配することはない。

しかしこの患者さんは英語を話さない移民、、、、。通訳を通して「移民して何年ですか?」と訪ねると「来年の1月で10年です、、、」と暗い一言。娘曰く「この人の保証人となった人は6年前に死にました。私も夫も働いていません。息子も(患者の孫)仕事中に怪我をして働けない体になりました。嫁が一人で6人を食べさせてくれているのです。生活はギリギリです。これ以上お金を出すことはできません、、、」と。あ~厳しい状況だ。私はチームのソーシャルワーカーを呼んだ。状況のアセスメントをして欲しいと。彼女曰く「やってみるけど難しそう、、、、」と。

一人がカナダへ来て次々と家族を呼び寄せる移民者は多い。しかし英語を話すこともできず、自国と同じような職業に就けない人、予想もしなかったような病気で保証人を失くす人なども多い。スポンサー移民でも健康チェックを受け持病がないことを検査される。移民による医療費の高支出を防ぐためだ。高齢者のスポンサーをすることの意味を深く考えて決心する人はいったいどれくらいいるのだろうか。それとも家族(親戚も含めて)が一緒に新しい国で暮らすことが何よりも大事なことなのだろうか。家族、親戚みんなで力を合わせて長期医療施設への入院を避ける移民者は多い。そして彼らは言う、「自国に残っていたら、こんな高度な医療は受けることができなかった。家計が苦しくてもこうして生きて行けることを考えると移民してきたことを後悔しない。」と。政治も安定していて高度な医療を受けることができる国から移民してきた者としてはなかなか理解できない言葉だ。

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