最近身近なところで離婚が続いた。そのうち二件が家庭内暴力に関連して。そんなおかげでカナダで家庭内暴力がどのように扱われるのか知ったので、ここでちょっと。
家庭内暴力の通報で警察はすぐ飛んで来てくれる。よくあるのがことが大沙汰になったと通報したことを後悔する被害者が多い。すみません間違いでした、とつき返すわけにはいかない。そして被害者が「大丈夫です。私が間違えて通報しました」と言っても警察官自身が状況判断をして接触禁止令を出すことができる。7週間とか家に近づくことも許されない。だから例えば父親が子供や母親に暴力をふるい、接触禁止令を出されたら、父親が家から出なければならない。父親は親戚の家とか友人宅やホテル暮らしの7週間が待っているわけだ。これに反すると次の罰則が待っている。もちろん次の罰則も恐れず暴力がエスカレートすることもある。そういうケースのために子供連れで入れるシェルターも各市に備えてある。シェルターのセキュリティーは高く、簡単に訪れたりすることはできない。シェルターにはカウンセラーも常駐していて、心のケアやどんな保護が受けられるのか、離婚をした時にどんな権利が生まれるのかなどを丁寧に教えてくれる。
家庭内暴力の現場で通報せず、事後報告でも警察は動いてくれる。被害家庭の全員一人ずつと面接をして事情聴取後、逮捕とか接触禁止令の発令となる。面接官はトレーニングを受けた警察官だ。子供の発達段階なども踏まえてそのレベルにあった面接をしてくれる。
弱者が守られているのね、と安心する。
最近日本で続いた子供の虐待。カナダではこれもとても厳しく扱われている。子供の泣き叫ぶ声が続くのを聞きつければ警察を呼ぶのは市民の義務のようなものだ。暴力だけでなくニグレクトもだ。例えば学校の先生が異常に気づき通報すると、チャイルドサービスからカウンセラーが家の状況を見に来たり親と面接をしたりする。観察のポイントは安全な環境。衛生面、食物など生きていくために必要なものがあるのかなどだ。少しでも疑わしとチャイルドサービスによって子供は取り上げとなる。同僚でスエーデン出身の看護師がいた。彼女の母国ではサウナは赤ちゃんから大人まで楽しむものだが、カナダの公共の場では13歳以下の子供のサウナ使用を禁止しているところが多い。彼女の子供がサウナ中に痙攣を起こしてERへ連れて行った。痙攣は重篤なものではなくすぐ落ち着いたのだが、彼女を待っていたのは虐待の疑惑。子供をサウナに入れていたからだ。長く続く面接。私の文化ではこれは虐待ではない、と何度説明しても聞いてもらえなかった、と子供を危うく取り上げられるところだったとか。逮捕されることもなく子供と一緒に帰宅できたのだが、ひやひやする話だ。カナダは移民者でできた国。いろいろな文化が入り混じっている。日本では「しつけ」の延長線上、手や頭をパシっとたたいたり、声を上げたりすることを異常と思う人はいないと思うけれど、それをここですると「普通」とはとられないのでご注意を。
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