カナダにはTSDM(Temporary substitute decision maker)というものがある。Willとばれる遺書は財産や親権などを法律家を通して作成し、効力があるもので、医療に関することはTSDMを通さなければならない。TSDMはWillのように法的な手続きを通す必要はなく、書面に記載する必要もない(紙に書いて残しても無効である)。本人の意思がしっかりしている間は自分で何を医療者に望んでいるか伝えることができるが、何らかの理由でそれが不可能な状態になった時、本人に代わって意思を伝えてくれるのがTSDMだ。医療に対する希望(意思)とは人工呼吸器の装着や経管栄養や手術などの積極的な治療の拒否権などだ。TSDMが本人の医療に対する希望(意思)をよく理解していること、そしてその内容が最新のものであることが重要なので、伴侶が選ばれる場合が多い。州によってTSDMになれる年齢は違うがBC州は19歳からである。伴侶や近親者選ばれない例として、伴侶がいても一緒に暮らしていないければ、一緒に暮らしている娘がTSDMにふさわしくなる。一人暮らしで家族と疎遠で近くにいる友達の方が本人の医療に対する意思を知っている場合、家族を差し置いて友達がなる場合もある。
ホスピスにくる患者さんは意思の疎通ができる間に誰がTSDMか明確にしておくことができる。しかし交通事故などで突然、意思の疎通が不可能になる場合が厄介だ。こういうことからも普段からよくよく自分はどうしてほしいか周りの人に伝えておくことが大切である。その情報は常に最新のものでなければならないので一度話したからと終わりにせず、一年に一回ぐらいはその意思に変化がないか確認しあうことが必要である。私は常に夫に健常な生活に戻れないのなら、人工呼吸器やICU治療はしてほしくないこと、死亡後は臓器移植をしたいと伝えている(もちろん臓器提供の登録をしている)。こうすることによって残された家族が迷うことなく本人の意思を全うすることができるので私は良いシステムと思っている。TSDMがいない場合やTSDMが本人の意思を尊重していないような場合は第三者が仲介に入ることもできる。詳しいことはこちらで。
先月ホスピスでこんなことがあった。マイク(仮名)は先妻との間に娘がいて、再婚してから数年が経っている。娘と現在の妻、ジャッキー(仮名)の仲は良くなかった。マイクは遠くに住んでいる姉もいて彼女とマイクは仲が良かったけれど、ジャッキーと姉の仲は良くなかった。マイクの意識がしっかりしている時は妻のジャッキーが毎日お見舞いに来て、医師の説明も彼女がいつも参加していた。ところが死期が近くなりマイクの意識が混沌となると、娘と姉が部屋へ寝泊りするようになった。それだけではなく二人は同盟を組み、マイクが死ぬときは私たちがベッドサイドにいるべき、ジャッキーにはいてほしくないとジャッキーを追い出そうとした。部屋の中では3人の女性がマイクを囲み誰が一番マイクのそばにいるべきか争っているような状態だった。3人の女性を取り持っていたマイク、そのマイクが病気のために役目を果たすことができなくなってゆがんでしまった3人の仲。そんな中マイクのレスキューの使用頻度はうなぎのぼり。マイクの精神的、社会的苦痛が明らかな状態だった。それをを軽減しようと四苦八苦する私たち看護師、そしてSWが介入するこになった。彼女はまずジャッキーと話をして、彼女の許可を得て姉と娘を参加させミーティングを行った。ジャッキーにマイクが以前、病気や死についてどういう気持ちでいたか、何を望んでいたかを二人の前で言ってもらい、その後患者の前でいがみ合うのではなく、平穏で合理的な解決策を見つけなければならないことを伝えた。その中ではっきりジャッキーがTSDMであることを伝えた。だからジャッキーはあなたたちの訪問を断り、情報も一切伝えない(死んだかどうかも伝えなくても良い)と決める権利があると伝えた。愛する人の死を前にしてそれは避けたいでしょうとSWは言った。いわゆる脅しかな?しかしこれが効果的で娘と姉もこれを境にでしゃばることを止めた。シフトを決めて誰がベッドサイドにいるかローテンション表も作った。誰もが平等にベッドサイドですごすことができ、居合わせることなくマイクとの最後の時間がすごせるようになった。
カナダでは患者の情報を守ることが重要視されている。患者本人が伴侶にこの情報を伝えたくないと決めれば、私たちは患者の意思を無視して妻であろうと情報を提供することはできない(日本でよくある、家族に告知しても家族の希望により本人に伝えないということは絶対起らない。すべての意思決定は患者本人によるからだ)。面会の制限や情報の制限も患者本人の意思(そしてTSDMにより継続)による。こういうことをうまく利用した介入だった。SWにはいつも頭が下がる。
ホスピスにくる患者さんは意思の疎通ができる間に誰がTSDMか明確にしておくことができる。しかし交通事故などで突然、意思の疎通が不可能になる場合が厄介だ。こういうことからも普段からよくよく自分はどうしてほしいか周りの人に伝えておくことが大切である。その情報は常に最新のものでなければならないので一度話したからと終わりにせず、一年に一回ぐらいはその意思に変化がないか確認しあうことが必要である。私は常に夫に健常な生活に戻れないのなら、人工呼吸器やICU治療はしてほしくないこと、死亡後は臓器移植をしたいと伝えている(もちろん臓器提供の登録をしている)。こうすることによって残された家族が迷うことなく本人の意思を全うすることができるので私は良いシステムと思っている。TSDMがいない場合やTSDMが本人の意思を尊重していないような場合は第三者が仲介に入ることもできる。詳しいことはこちらで。
先月ホスピスでこんなことがあった。マイク(仮名)は先妻との間に娘がいて、再婚してから数年が経っている。娘と現在の妻、ジャッキー(仮名)の仲は良くなかった。マイクは遠くに住んでいる姉もいて彼女とマイクは仲が良かったけれど、ジャッキーと姉の仲は良くなかった。マイクの意識がしっかりしている時は妻のジャッキーが毎日お見舞いに来て、医師の説明も彼女がいつも参加していた。ところが死期が近くなりマイクの意識が混沌となると、娘と姉が部屋へ寝泊りするようになった。それだけではなく二人は同盟を組み、マイクが死ぬときは私たちがベッドサイドにいるべき、ジャッキーにはいてほしくないとジャッキーを追い出そうとした。部屋の中では3人の女性がマイクを囲み誰が一番マイクのそばにいるべきか争っているような状態だった。3人の女性を取り持っていたマイク、そのマイクが病気のために役目を果たすことができなくなってゆがんでしまった3人の仲。そんな中マイクのレスキューの使用頻度はうなぎのぼり。マイクの精神的、社会的苦痛が明らかな状態だった。それをを軽減しようと四苦八苦する私たち看護師、そしてSWが介入するこになった。彼女はまずジャッキーと話をして、彼女の許可を得て姉と娘を参加させミーティングを行った。ジャッキーにマイクが以前、病気や死についてどういう気持ちでいたか、何を望んでいたかを二人の前で言ってもらい、その後患者の前でいがみ合うのではなく、平穏で合理的な解決策を見つけなければならないことを伝えた。その中ではっきりジャッキーがTSDMであることを伝えた。だからジャッキーはあなたたちの訪問を断り、情報も一切伝えない(死んだかどうかも伝えなくても良い)と決める権利があると伝えた。愛する人の死を前にしてそれは避けたいでしょうとSWは言った。いわゆる脅しかな?しかしこれが効果的で娘と姉もこれを境にでしゃばることを止めた。シフトを決めて誰がベッドサイドにいるかローテンション表も作った。誰もが平等にベッドサイドですごすことができ、居合わせることなくマイクとの最後の時間がすごせるようになった。
カナダでは患者の情報を守ることが重要視されている。患者本人が伴侶にこの情報を伝えたくないと決めれば、私たちは患者の意思を無視して妻であろうと情報を提供することはできない(日本でよくある、家族に告知しても家族の希望により本人に伝えないということは絶対起らない。すべての意思決定は患者本人によるからだ)。面会の制限や情報の制限も患者本人の意思(そしてTSDMにより継続)による。こういうことをうまく利用した介入だった。SWにはいつも頭が下がる。
